考えてみよう

地球を宇宙空間に動かすためには、ロケットエンジンがいくつ必要か計算してみよう

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まず、地球の質量は約5.97×1024キログラム、軌道速度は約7.9キロメートル毎秒です1。地球を宇宙空間に動かすには、この軌道速度をゼロにする必要があります。つまり、地球に逆向きの力を加えて、運動エネルギーをゼロにする必要があります。

地球の運動エネルギーは、次の式で求められます。

Ek​=​mv2/2

ここで、mは地球の質量、vは地球の軌道速度です。この式に数値を代入すると、地球の運動エネルギーは約1.87×1033ジュールとなります。

次に、ロケットエンジンの推力と燃料の消費量を考えます。ロケットエンジンの種類によって異なりますが、ここではH3ロケットの1段エンジン「LE9」を例にとります2。このエンジンは、相対噴射速度が約4.5キロメートル毎秒、推力が約1.2メガニュートン、燃料の消費量が約270キログラム毎秒です3

ロケットエンジンの推力は、次の式で求められます。

F=m˙ve​

ここで、Fは推力、m˙は燃料の消費量、ve​は相対噴射速度です。この式に数値を代入すると、LE9の推力は約1.2メガニュートンとなります。

ロケットエンジンの仕事は、次の式で求められます。

W=Fd

ここで、Wは仕事、Fは推力、dは移動距離です。地球を宇宙空間に動かすには、地球の半径の約2倍の距離を移動させる必要があります。地球の半径は約6.37×106メートルなので、移動距離は約1.27×107メートルとなります。この式に数値を代入すると、LE9の仕事は約1.52×1013ジュールとなります。

地球の運動エネルギーをゼロにするには、ロケットエンジンの仕事が地球の運動エネルギーと等しくなる必要があります。つまり、次の式が成り立つ必要があります。

Ek​=nW

ここで、nはロケットエンジンの個数です。この式に数値を代入して、nについて解くと、次のようになります。

n=WEk​​=1.52×10131.87×1033​≈1.23×1020

つまり、地球を宇宙空間に動かすには、LE9のロケットエンジンが約1.23×1020個必要となります。これは非常に多くのエンジンであり、現実的には不可能です。また、燃料の消費量も膨大になります。LE9の燃料の消費量は約270キログラム毎秒なので、1.23×1020個のエンジンが1秒間に消費する燃料は約3.32×1022キログラムとなります。これは地球の質量の約0.6パーセントに相当します。

以上の計算から、地球を宇宙空間に動かすためには、ロケットエンジンがいくつ必要かは、現実的には答えられない問題であると言えます。

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